年内の勉強方法 – 中編①


導入と前提

この記事は次の記事の続編になります。まだ読まれていない方は先にこちらをお読みください。

年内の勉強方法 – 前編

前編に引き続き、私が実践した8月~9月中旬の勉強方法を解説します。

この期間、私は会社法と商業登記法の択一を勉強していました。

しかし、あくまで私が実践した勉強法であり、かなりの試行錯誤があります。自分で実践しておいて、正解と言える勉強方法だとは思えません。

経験を踏まえた上での、私が考えた独学に必要な勉強方法の最適解は別稿にします。

記述式

前編と同様です。引き続き記述には手を出しません。

教材の決定

引き続きオートマシステムを使います。

ただし、教材が増えることになりました。それはオートマ過去問(肢別)と判例六法です。教材が増えた理由については後述します。

具体的な勉強方法

これまでの学習方法が使えない

前編で述べましたが私は次のような手順で学習していました。

オートマシステムを読み込む⇒必出3300を解く⇒オートマシステムを読み込む⇒必出3300を解く…(以降、繰り返し。)

しかし、この方法が使えないことがすぐに判明しました。これをご一読ください。

(レビュー)オートマシステム – 前編

オートマシステムと必出3000選の解説順序が異なるのです。そのため、オートマシステムと必出3300選をリンクさせるという、これまでの学習方法がやりづらく、効率が悪くなります。

しかし、それは本質ではありません。

会社法は、とにかく取っつきにくいのです。

テキストから入ってみたものの…

民法や不動産登記法のように日常生活との関係が薄く、イメージしにくいというのもありますが、もっと根本的な違いが有ります。

一応、テキストを読んだ直後は何となくわかった気になるのですが、過去問がほとんど解けません。

オートマシステムの特徴として、解説の後に過去問を引用していることが挙げられますが、解説を読んだ後に、それに続く過去問を解いても、それすらほとんど解けません。

これはまずい…

そこで、テキストを繰り返し読む方針にしました。オートマシステムの会社法/商業登記法は「機関」から始まりますから、「機関」の部分だけを繰り返し読むのです。

それでもオートマシステムに記載されている過去問すら解けません。

必出3000選の「機関」の左ページの問題を解いてみましたが、これも解けません。

勉強しているのにちっとも進んでいる気がしないので、モチベーションが削がれていきます。

非常にまずい…

予備校の使用を検討

司法書士試験を舐めていたかもしれない。

司法書士試験なんて簡単じゃね?これなら3カ月あれば十分だ!

な~んて言っちゃいましたけど、そんな簡単な試験ではないということに、ようやく気が付きました。

ここで私は予備校を利用することを視野に入れ始めました。

独学だから分からないのかもしれない。予備校ならテキスト+αの説明があるはずだ!

しかし、この時期から受講するのはいろいろと問題があります。

  • 初心者向け講座は15カ月を前提としているため、スケジュールが合わない。
  • 中上級者向け講座は12カ月を前提としているが、付いて行ける自信が無い。

仕方なく、独学を続行することにしました。(結局、独学で受かっているのでこの選択は正しかったことになります。)

方針を変更し、過去問から入ってみたものの…

よし、過去問から入ろう!

今の方法がダメなら、別の方法を試すしかありません。テキスト中心の学習方法ではダメなのかも。ならば、過去問を繰り返そう。

そこで手に入れてきたのが、オートマ過去問の会社法編と商業登記法編です。

しかし、これも必出3000選と同じ問題があり使いにくいです。

(レビュー)オートマ過去問

ここに記載した通りです。

オートマ本編が「会社法/商業登記法」と言う風に、会社法と商業登記法を同一の書籍にまとめているのに対し、オートマ過去問は会社法と商業登記法が別冊なっています。

そこで、「機関」に関する解けそうな問題だけをチョイスしながら解いていくという方法を始めました。何回かやっているうちに解けるようになるので、モチベーションは上がります。

しかし…

苦行のはじまり

ここで私は気が付き始めます。

それは、まさに「択一式の本質」で散々述べている y軸問題の件です。

過去問は「肢の正誤」を判定させるだけに過ぎません。

私は「肢の正誤」を覚えているに過ぎなかったのです。過去問とまったく同じ肢が本試験に出題された場合は正誤判定できるでしょう。しかし、未出の肢が出た場合は対応できません。

過去問とまったく同じ肢の正誤を判定すれば合格できる試験なら、こんなに分厚いテキストは要りません。

最初、私は答練を受けるなどして、自分にとっての既出の肢を増やしてしまうという戦略を考えたのですが、「択一式の本質」で散々述べているようにこれは最悪の方法です。私は自ら思考することで「択一式の本質」に書いた結論に辿り着きました。

ここで閃きが走ったのですが、勉強方法を根本的に間違っていました。

「肢の正誤」ではなく、正の肢の内容を何も見ずとも完全に説明できなければ話にならないのです。もっと言えば、テキストの内容を何も見ずとも完全に説明できなければ受からないのではないかと考えました。

どの肢が誤かなんていうのは、むしろ余計な知識なのです。(後で気が付きますが、例外的に誤の肢の知識が必要な場合もあります。)

この頃の私は勉強方法が迷走していたため、ネットで勉強方法を調べ漁っていました。そこで見つけた記事がこれです。

平成25年度司法書士試験合格者(255.5点獲得)による勉強方法の紹介

この記事を見たことで自分の閃きが正しいと確信するに至りました。

ここで、y軸問題の件の復習です。既に「択一式の本質」を読んだ方は飛ばしてください。


(復習)y軸問題

例えば、「代表取締役全員の死亡により会社は解散する。⇒誤」このような知識は何の役にも立ちません。

なぜなら、誤答はいくらでも考えられるからです

会社の解散原因は有限個数しかないのだから、そちらを全て言えるようにすれば「XXにより会社は解散する。」という肢の正誤は全部判断できるようになるのです。


揺れる心

司法書士試験を完全に舐めていたことに気が付きました。

テキストの内容を何も見ずとも完全に説明できるようにする。と言う勉強方法に切り替えなければならないと考えました。

しかも、この勉強方法が正しいのかも確信が持てません。しかし、今までの方法では上手くいかなかったのですから、試してみるしかありません。

正直、こうしなければならないことが分かったときは、心が折れそうになりました。無理だろ、これ…

しかも、これは会社法/商業登記法と言う試験範囲のほんの一部に過ぎません。

あきらめようかと思いましたが、既に会社を辞めているため、もはや退路はありません。

「損切り」して就職活動を始めようかと思ったほどでした。

しかし、この試験は天才でなくとも受かると聞いていましたので、努力で乗り越えられるはずだ!と言う気持ちもありました。

考え抜いた末、私は、@40さん(既に紹介したブログの記者)を信じることに決めました。

信じると言っても妄信するわけではありません。私には合わない勉強方法も含まれるかもしれません。そこは適宜調整していこうと考えていました。

司法書士試験の難しいところとして、こういう場面で「損切り」したくなるということが挙げられると思います。莫大な時間と苦行を投資しなければならない上に、独学の場合、果たして自分の努力の方向が正しいかどうかさえ分からないのです。努力は正しい方向に向けてしなければなりません。目標から逆走するような努力をしてしまうと永久に合格には辿り着けません。社会人経験からそれはよく理解していました。

まともな神経を持った人間なら「損切り」してしまうような状況でも、尋常ではない精神力と信念を持って自分を奮い立たせながら、博打を打たなければ合格できないのです。もちろんそれだけで合格できるとは限りませが、合格するための最低限の条件です。

ここまでくると尋常じゃない不安を感じます。この不安は、筆舌に尽くし難い程のもので、実際に挑戦した方にしか理解できないと思います。

実は、これ以外にも重大な懸念要素が見え始めていました。それは民法と不動産登記法です。詳しくは次回にさせていただきますが、これも相まって、筆舌に尽くし難い程の焦りを感じていました。

読者さまの中に、まさに今、そういう気持ちに陥っている方がいるかもしれません。冷たいようですが、その決断(「損切り」するか博打を打つのか?)は自己責任で行うべきです。

ただ、そういう気持ちに陥っているならば、あなたが今、本気で何かに挑戦しようとしていることでもあると思います。私も司法書士試験に挑戦するまでは、こういう気持ちになったことが有りませんでした。本気で何かに挑戦しようとしたのが人生で初めてだったということでしょう。

勉強方法を大きく路線変更

心の中で講義をする

既に述べましたが、テキストの内容を何も見ずとも完全に説明できるようにする。と言う勉強方法に切り替えました。

まず、もう少し分野を細かく分けます。例えば「機関」を「株主総会」「取締役会」「監査役」等に細分化して捉えることにしました。「機関」をいきなり全部説明できるようにするのは無理があると感じたからです。

まず、テキストの「株主総会」の部分を読みます。次に、テキストを見なくても内容を説明できるようにします。自分で講義をするイメージです。心の中で講義をします。必要であれば、講師が黒板を使うように、紙に書きながら説明します。

当然、1回ではできません。分かるところだけ説明し、全部説明できなければ、またテキストの「株主総会」の部分を読みます。そしてまた何も見ずに説明を試みます。

ちなみに、私のやり方は、@40さんとは少し異なります。@40さんはキーワードを紙に書き出して、それに関する論点を全部言えるようにするという方法を採用していました。これは書き出す時間がもったいないのと思ったからです。しかし、私のやり方でうまくいかないようであれば、@40さんのやり方をそのまま試すつもりでした。

「株主総会」が終わったら、続く他の分野でも同じ「作業」を行います。

テキストの「株主総会」を読む⇒何も見ずに説明できるようにする⇒テキストの「取締役会」を読む⇒何も見ずに説明できるようにする…(以降、他の分野も同様。)

しかし、ここで恐ろしい別の問題に気が付いたのです。前日は何も見ずに説明できたことを、翌日には忘れています。

またしても心が折れそうになりました。

しかし、合格者の誰もが「繰り返せ。」とおっしゃっていたのを思い出しました。私が参考にさせていただいた@40さんも、ブログでそのようなことを主張されていたと思います。

それを信じて翌日も繰り返します。

本当に気の遠くなるような「作業」です。

3回ほど同じことをやるとようやく忘れなくなってきます。

この辺りから、オートマシステムに付属している過去問を間違えなくなり、瞬殺で解いて理由まで説明できるようになります。これは、必出3300選の左ページの問題にも言えることであり、オートマ過去問も同様です。理由まで説明できるようになります。

ここへ来て、ようやくモチベーションとやりがいを感じるようになりました。

まさに別の記事で解説した、Breakthrough(突破口)に達したのです。

Breakthrough(突破口)と減衰域

必出3300選の右ページの有用性

他にも気が付き始めたことが有りました。必出3300選の右ページの図表の有用性がわかってきたのです。テキストは、分かり易くするために冗長な表現が有りますし、一度完全に説明できるようにしたところを復習するのに、再度説明するというのは時間がかかりすぎるのです。

必出3300選の右ページの図表を、ザーッと素早く流し見て、記憶に刷り込むようにするという復習の仕方があることに気が付きました。

ただ、これだけだと不安なところもあるため、私はチェックテープを使うようになりました。右ページの図表の一部を隠して、言えるようにするのです。

更に、不安がある場合は、右ページの図表を何も見ずに全部紙に書き出すか、説明できるようにします。

どの程度まで正確に記憶するのかが難しいところですが、左ページの問題が参考材料になります。問題を解くうちに勘が働くようになります。このように、テキストのまとめが書かれており、それをどこまで覚えれば良いかの参考材料として問題が提示され、それらがリンクしているところが、この教材の非常に優秀な点です。

逆に、テキストではどうしても覚えられない場合は、理屈なんて無視して必出3300選の右ページの丸暗記から入るという勉強方法も有効でした。

六法を学習に投入

「機関」が終わり「設立」の勉強に入りました。ただ、「設立」は「テキストを読んで、何も見ずに説明できるようにする。」と言う勉強方法だけでは、いまいち頭に入ってこないのです。この理由は今でも良くわかりませんが、単にオートマの説明が悪いのかもしれません。

ここでまた悩みました。

今の方法がダメなら、リスクがあろうとも別の方法を試すしかありません。

今まで一度も利用したことのなかった教材に手を出してみました。

六法です。

合格者の中に、条文の重要性を主張する方がいたからです。(逆に、@40さんは条文の必要性を否定していました。@40さんの勉強方法を参考にはしましたが、既に述べた通り、妄信はしていませんでした。)

具体的な使い方としては、会社法の設立の部分の条文を先頭から順番に読んでいきます。テキストで引用されている条文を、いちいち六法で調べるような使い方はしません。

このやり方は正解でした。

1回読んだだけでも、理解が進んだのを実感できましたが、2回、3回と繰り返し読むことでどんどん理解が深まっていきます。

読む回数は2回~3回で十分だと思います。

そしてオートマシステムや必出3300選に戻ったのですが、「テキストの内容を、何も見ずに説明できるようにする。」「必出3300選の右ページの図表を覚える。」ということがスムーズにできるようになりました。

それ以降、会社法はテキストと並行して条文をよむようにしました。ただ、条文は何回も繰り返し読むものではなくとっかかりとして2回~3回も読めば十分だと思います。

ただ「組織再編」だけは条文を読んでもかえって混乱すると思います。オートマシステムの内容で十分です。

以上はあくまで会社法の場合の条文の使い方であり、他の科目では違ってきます。

ブレてはいけない

テキスト、サブテキスト(必出3300選のような問題集)、過去問、および六法以外の教材に手を出してはいけません。既に紹介したリンクですが、下記のリンク先にも同じことを書いております。

Breakthrough(突破口)と減衰域

  • 実務書に手を出す。
  • 分かり易さを売り物にした、テキスト以外の本に手を出す。
  • 司法試験のテキストに手を出す。(元法学部の場合は、有効なケースもあるらしいですが…)

このような行為は「逃げ」でしかありません。司法書士試験は結局根性で覚えるしかない試験です。その覚悟が出来ない限り合格できません。

会社法をやり切った

9月中旬ぐらいまでかかったと思います。ようやく会社法/商業登記法を「理解できた!」(減衰域に達した)というレベルに到達しました。

この季節になると、最新の本試験問題(矛盾した言い方かもしれませんが、最新の過去問)が発表されています。

別の記事で解説したように、会社法(商法含む)と商業登記法の問題を解いてみました。

最強の模試

 

解けます!

それもほぼ全肢を正誤判定できました。

会社法の1問、商業登記法の1問を落としましたが、現状では問題ないと思いました。

会社法の1問は難問ではあるのですが、考えれば分かる問題であり、原因は手持ちの教材の情報網羅率が絶対的に不足していないから解けないわけではありません。慣れの問題です。

商業登記法の1問は明らかに実務的過ぎる問題であり、解けなくても大丈夫だと判断しました。

私が最も懸念していたのは、手持ちの教材が合格に必要な情報を網羅していない可能性です。その場合、いくら努力しようとも合格に届かないことになります。少なくとも会社法と商業登記法については、その点はクリアしているということが分かりました。

自分で自分の能力の限界を把握できていなかった。

不可能だと思っていたのに人間ってやればできるじゃん!

まだまだ懸念はありましたが、この時点ですごく達成感を感じ、自信が付いたのを覚えています。

会社法と商業登記法は暗記から入る

民法と不動産登記法は、テキストを繰り返し読み、それに必出3300選を混ぜていくという学習方法が有効でした。

しかし、会社法と商業登記法は勉強方法が根本的に異なります。これらの科目は、テキストの内容を「暗記」しなければなりません。

私は「暗記」という言葉の意味を、司法書士試験に挑戦するまで、理解できていなかったと思います。上記のようにテキストやサブテキスト(必出3300選)の内容を、何も見なくても言えるようにするのです。「暗記」とはそういう意味です。

これは民事訴訟法以降の科目にも言えることであり、こうした「暗記作業」は司法書士試験に合格する上では必須のものだと思います。

なお、「暗記」に対し「理解」という言葉があります。私は「理解」という言葉が抽象的過ぎて嫌いです。これについては別稿を書こうと思います。

もっとも、過去問中心で合格された方もいるため、私の方法が唯一の正解ではないと思います。これも別稿にしたいと思います。


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