Breakthrough(突破口)と減衰域


導入

受験用語として、Breakthrough という言葉を聞いたことが有る方がいるかもしれません。ブレークスルーと読みます。ここでは、LECさんのテキストであるブレークスルーテキストとの混同を避けるため、あえて英文字を用いています。LECさんのブレークスルーテキストも、この受験用語を意識して命名されたのかもしれません。

Breakthrough ではわかりにくいので、今後「突破口」という言葉を使います。本記事では「突破口」の他に、「減衰域」という受験用語を使います。

突破口ははっきり言ってしまえば受験の常識です。

突破口を経験しているかどうかは司法書士試験においては重要です。経験していることで、学習序盤のモチベーションを保ちやすくなります。逆に突破口を経験していないと、学習序盤で折れそうになります。私は経験が無いわけではないものの、少なくて折れそうになりました。

これとは別に、司法書士試験には減衰域という非常に厄介な概念があります。これは他の受験勉強ではあまり見られない概念です。

Breakthrough(突破口)とは

Breakthrough(突破口)が無い

学習序盤の頃、民法を学習していると、勉強時間と実力が比例して伸びていく実感、あるいは勉強が進んでいる実感が有りましたよね?(勉強が進んでくるとそうでもないのですが…)

このように、勉強時間と実力が比例して伸びていく分野を「突破口」が無い分野と言います。

具体的に挙げるなら次の分野は突破口が有りません。

  • 民法
  • 不動産登記法

これらは、テキストを読めば読むほど、勉強時間と実力が比例して伸びていく実感、あるいは勉強が進んでいる実感があり、初学のうちは苦手意識を持ちにくいのです。(但、不動産登記法を非常に苦手に感じる初学者もいます。)

ゲームで例えましょう。

Lv.1 攻撃力が10 あるとします。これで雑魚を攻撃します。10 ダメージを与えられます。頑張って雑魚を狩り、Lv.2 に上がり攻撃力が 20 まで伸びたとします。与えられるダメージも 20 まで伸びます。

こういう仕組みであれば、人はやりがいとモチベーションを感じます。これが勉強であれば、面白い!これからも頑張ろう!という気持ちになると思います。

Breakthrough(突破口)が有る

これとは対照的に、突破口が有る分野があります。

突破口が有る分野では、勉強したらしただけ比例して実力が伸びていく実感、あるいは勉強が進んでいる実感が有りません。

具体的には次の分野は突破口が有ります。

  • 会社法
  • 商業登記法
  • 民事訴訟法
  • 記述式(不動産登記法、商業登記法両方)

これらは、テキストを読んでも(書こうとも)、実力が伸びていく実感、あるいは勉強が進んでいる実感を持てず、初学のうちは苦手意識を感じやすいのです。(というか、苦行に感じます。)

ゲームで例えましょう。

Lv.1 攻撃力が10 あるとします。これで雑魚を攻撃します。10 ダメージを与えられます。頑張って雑魚を狩り、Lv.2 に上がり攻撃力が 20 まで伸びたとします。与えられるダメージは 11 までしか伸びません。
(突破口の無い分野では、与えられるダメージは 20 まで伸びました。)

こういう仕組みの下では、人はやりがいとモチベーションを喪失しがちになります。これが勉強であれば、苦行だ!こんなのやってられるか!という気持ちになると思います。

ここで、突破口という概念が問題になってくるのです。

突破口のある分野は、ある日突然、急激に実力が伸びる瞬間が来ます。この瞬間をBreakthrough(突破口)と言います。ここさえ超えてしまえば、勉強時間と実力が比例して伸びていく実感、あるいは勉強が進んでいる実感を得ることができます。

ゲームで例えましょう。

Lv.1 攻撃力が10 あるとします。これで雑魚を攻撃します。10 ダメージを与えられます。頑張って雑魚を狩り、Lv.2 に上がり攻撃力が 20 まで伸びたとします。与えられるダメージは 11 までしか伸びません。しかし、Lv.3 に上がり、攻撃力が 30 まで伸びたとします。そうすると与えられるダメージは 30 まで飛躍的に伸びます。Lv.4 に上がり、攻撃力が 40 まで伸びたとします。そうすると与えられるダメージは 40 まで伸びます。

ここへ来て、人はようやく、やりがいとモチベーションを感じます。突破口の無いゲーム以上に、やりがいとモチベーションを感じるでしょう。勉強であれば面白い!これからも頑張ろう!という気持ちが民法以上に強くなると思います。

加えて、やればできるんだ!努力は報われるんだ!という気持ちになるでしょう。

会社法、および商業登記法を勉強していて、つまらないと感じる方、または挫折しそうになっている方は、突破口に達していません。それでも努力を続けてください。突破口は必ずやってきます。それを信じてください。

減衰域とは

突破口とは別に減衰域という概念が有ります。これが非常に厄介です。

減衰域とは、突破口が無い分野を学習していても、有る分野を学習していても襲ってきます。

ずっとずっと勉強を突き詰めていくと、実力が伸びていく実感、あるいは勉強が進んでいる実感が持てなくなる時期がやってきます。

これが減衰域です。

ゲームで例えましょう。

Lv.100 まで上げました。攻撃力が 1000 まで上がります。この超火力でボスを攻撃します。1000 ダメージを与えられます。更に更に経験値を積み、Lv.200 に上がり攻撃力が 2000 まで伸びたとします。この超々火力でボスを攻撃します、与えられるダメージは 1001 までしか伸びません。

こうなると、人はやりがいとモチベーションを喪失しがちになります。これが勉強であれば、苦行だ!こんなのやってられるか!という気持ちになると思います。

というか、突破口を超えるのも苦行でしたが、減衰域に達するとそれ以上に苦行になります。減衰域に達しているのに努力を続けるというのは、突破口を目指す苦行よりも、10倍~100倍苦行感が強いのです。

しかし、司法書士試験においてはそこまでする必要が無い科目の方が多数派を占めます。

具体的には次の科目です。

  • 会社法
  • 商業登記法
  • 民事訴訟法
  • 記述式(不動産登記法、商業登記法両方)

これらの科目は、減衰域に達したらそれ以上勉強する必要はありません。そこまでくれば合格に必要な点数を取れます。

しかし、

しかしですね…

減衰域に達してもなお努力を続け、極限まで実力を高めていく必要がある科目が有ります。

具体的には次の科目です。

  • 民法
  • 不動産登記法

それほどまでに民法と不動産登記法は難しい科目なのです。

司法書士試験の最後の関門は、減衰域に到達しようとも、なお努力を続けることが要求される科目があることです。

(追補)Flag(フラグ)はない

Flag(フラグ)と言う概念は、Breakthrough(突破口)や減衰域と比べて説明がしにくいものです。だから先に事例を挙げます。

減衰域のお話をゲームに例えました。

さらに続きを加えます。

この後、攻撃を受けたボスキャラはどうするでしょうか?

勇者の攻撃!
ボスキャラに 1001 のダメージを与えた!
ボスキャラ「勇者よ、死ね!」
ボスキャラは「メテオ」を唱えた
勇者は 9999 のダメージを受けた!
勇者は死んでしまった…

余談ですが、魔法の名前がメテオなのは私が FINAL FANTASY の大ファンだからです。

さあ、どうしますか?

「唱えた」という言葉が有りますよね?ということは、ボスキャラが頼みとしている攻撃手段は「魔法」だということです。

ならば「魔法」を封じてしまえば勝てます!そう!「サイレス(魔法封じ)」の出番です!

改めて余談ですが、魔法の名前がサイレスなのは私が FINAL FANTASY の大ファンだからです。

もし、勇者がサイレスを使えないとします。そうすると、永遠にボスキャラに勝てません。

じゃあどうしますか?

サイレスをどこかで覚えていないから勝てない!サイレスをどこかで覚えることができるはずだ!町の人と話して情報収集だ!ボスキャラの弱点を訊きだそう!サイレスのことを知っているはずだ!

そうして勇者はサイレスを覚えました。

勇者は「サイレス」を唱えた!
ボスキャラの魔法を封じた!
ボスキャラ「なんということだ!メテオが使えない!」
勇者の攻撃!
ボスキャラは行動できない!
勇者の攻撃!
ボスキャラは行動できない!
勇者の攻撃!
ボスキャラは行動できない!
勇者の攻撃!
勇者はボスキャラを殺した!

こういうのをFlag(フラグ)と言います、一定の条件を満たさないと、シナリオが先に進みません。しかし、一定の条件を満たしさえすれば、永遠に勝てないはずの敵にも勝ててしまうのです。

この事例では勇者がサイレスを覚えることがフラグでした。

余談ですが、フラグとは元々、恋愛シミュレーションゲームの用語です。好きな子が脈アリになる瞬間を「フラグが立つ」と言います。現実の恋愛でも「フラグが立つ」という言い方をすることが有ります。

では、司法書士試験にフラグはあるでしょうか?

残念ながら司法書士試験にフラグと言うヌルい概念は一切ありません。

確かに、勉強方法が大幅に間違っている場合は、勉強の方向性を大幅に変更しない限り合格はできません。その意味では、フラグに近い概念はなくはないのです。

しかし、一度正しい勉強方法を身に付けてしまえば、フラグなんて甘い概念に惑わされてはいけません。絶対にブレないでください。例えば、会社法で挫折しそうになったからと言って、決して次のような行動をしてはなりません。

  • 実務書に手を出す。
  • 分かり易さを売り物にした、テキスト以外の本に手を出す。
  • 司法試験のテキストに手を出す。(元法学部の場合は、有効なケースもあるらしいですが…)

そこにフラグなんてありません!

サイレスなんて使いません、Lv を上げて殺られる前に殺る!

そういうのが司法書士試験です。

よく覚えておきましょう。

繰り返しますが、司法書士試験にフラグはありません。

最後に

会社法、商業登記法が難しく感じる方は、突破口に達していません。そのため、学習が進んでいない可能性が高いのです。繰り返しになりますが、それでも努力を続けてください。突破口は必ずやってきます。それを信じてください。

逆に、民法、不動産登記法が難しく感じる方は、減衰域に達し、なお先に進もうとされている方です。そういう方は合格が近いと言えます。減衰域に達しても努力を続けるのは大変な苦行だと思いますが、合格には必要なことです。がんばってください!


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