未出の肢と既出の肢


導入と前提

前提

本稿は、あくまでも択一式の話をしています。

意味

既出の肢と未出の肢という言葉はよく使われます。

意味は次の通りです。

  • 既出の肢
    ⇒過去問での出題実績がある肢。
  • 未出の肢
    ⇒過去問での出題実績がない肢。

捨て問?

未出の肢は当然難易度が高く、受験生から嫌われることの多い問題です。

未出の肢を捨て問(正解できなくても良い問題)とする意見も有りますが、これは非常に危険な考えです。

出展は省略しますが、完全な既出の肢(後に述べる Lv.0)を正解できるのみでは、基準点付近までしか届かないことが既にデータとして明らかにされています。合格のためには未出の肢も正解しなければなりません。

既出と未出の定義

正解すべきと言っても、そもそも前提として未出の肢の定義が非常にあいまいなのです。

過去問とまったく同じ肢(正誤を判定させただけものを含む。)が出た場合、既出の肢とすることには誰も疑いを持たないでしょう。

しかし、既出の肢と未出の肢の境界線をどこにするかについては意見が分かれると思います。

そこで、本稿では未出の肢をいくつかのLv(レベル)に分けて考えてみます。

未出の肢のLv

  • Lv.0
    完全な既出の肢(正誤を反転させただけのものを含む。)。本来、未出の肢に含めるのはおかしいが、後の解説のため便宜上、未出の肢に分類した。
  • Lv.1
    条文や判例のレベルでは既出だが、事例への当てはめが必要で、問題文は異なる場合。
  • Lv.2
    正解に必要な条文は未出だが、「Lv.0, 1」の条文と近接している場合。かつテキストに記載がある場合。
    例えば、過去問に〇条第一項の知識が必要な問題が出題されたとしたとき、正解するのに〇条第二項の知識が必要な場合。
  • Lv.3
    正解に必要な条文は既出だが、その条文の判例が必要な場合。かつテキストに記載がある場合。
  • Lv.4
    出題実績が無いか非常に少ないものの、多くのテキストに記載があるか、または重要知識として記載したテキストが存在する場合。
  • Lv.5
    多くのテキストで重要でない知識として整理されているか、または過去問の解説や条文まで読んでおく必要がある場合。
  • Lv.6
    実務的過ぎる場合。
  • Lv.7
    明らかに司法書士の試験範囲を逸脱している場合。

まとめ本のようなサブテキストを併用している場合は、ここで言うテキストにはサブテキストも含みます。

未出の肢の具体例

過去問を調査するのが面倒なので省きますが、後程、過去問の調査をする機会があれば更新したいと思います。

どこまで正解する必要があるか?

受験戦略に依る

受験生の受験戦略に依ります。

受験戦略に照らして、どこまで正解すべきか、私の主観的な目安を提示します。

期待できる得点

  • Lv.0
    基準点に到達しないでしょう。
  • Lv.1
    僅かながら基準点に到達する可能性があるレベルだと思います。
  • Lv.2
    基準点に到達するかしないかギリギリのレベルだと思います。
  • Lv.3
    基準点を安定して突破できるレベルだと思います。
  • Lv.4
    逃げ切り点に到達するかしないかギリギリのレベルだと思います。
  • Lv.5
    逃げ切り点を安定して突破できるレベルだと思います。
  • Lv.6, 7
    正解の必要性が無い問題です。

受験戦略との関係

  • Lv.0
    択一で足切りを食らう可能性が高いです。
  • Lv.1
    このレベルで基準点を超えたとしても、記述に必要な知識が不十分だと思われるので、記述で足切りを食らう可能性が高いです。
  • Lv.2~3
    記述で圧倒的な成績を出して合格するいわゆる「記述挽回作戦」を取る受験生が狙うレベルです。
    仮に記述の基準点を35点、必要な上乗せ点を20点とすると、記述で55点が必要であり、私の主観では(いい意味で)廃人の所業だと思います。
  • Lv.4
    記述が基準点ギリギリでも、合格の可能性が十分にあるレベルです。合格者の多数派が狙うレベルだと思います。
  • Lv.5
    記述が基準点を割りさえしなければ、100%確実な合格を狙えるレベルです。
  • Lv.6
    通常は正解する必要が無い問題ですが。補助者経験者にとってはサービス問題であり、他の場所での失点を挽回することができます。
  • Lv.7
    この問題が正解できる場合、逆に勉強方法を間違えている可能性があります。司法試験の受験経験があり、たまたま知っていたなら別です。

真面目に合格を狙う受験生はLv.2~5を狙うことになります。

私はLv.5を狙いました。実際にそのレベルに達していたかどうかは分かりませんが、その結果、基準点に27点上乗せしています。

実務の知識が合格に必要かと言うことは議論になりますが、私の結果は、合格には実務の知識がほぼ必要ないことを示していると思います。

ランク分けとの違い

ここで論じたことは、予備校の提示する「A~Cランク問題」と似ています。

ただ、予備校の基準にはちょっとした問題があります。それは難易度ではなく正答率で分類している可能性が高いことです。

例えば、個数問題に2つめちゃくちゃ難しい肢が含まれている場合、双方を間違うことで、たまたま正解することがあります。この場合、難易度と正答率が比例しません。

また、予備校が「問題の難易度を基準に分けた。」と主張する場合でも、客観的な分け方ではなく、講師の主観に依る場合があります。

私は、問題の難しさをランク付けするには、未出の肢の基準を決めた上で、それに照らして客観的に判断する必要があると考えます。

ただし、ここで示した「期待できる得点」や「受験戦略との関係」は、厳密なものではなく、私の主観であることをお断りしておきます。

もうふたつの妥協

「期待できる得点」や「受験戦略との関係」が私の主観を含む記事であることは解説済みですが、他にも問題が有ります。

  • Lv.0
    完全な既出の肢(正誤を反転させただけのものを含む。)。本来、未出の肢に含めるのはおかしいが、後の解説のため便宜上、未出の肢に分類した。

上記を最も簡単な問題として定義しました。しかし、実際にはLv.0の既出の肢が出題された場合でも正答率が低いケースも有り、一概に簡単な問題とは言えません。しかし、これは正解すべき問題です。

これは、過去問を徹底してやり込み、既出の肢を確実に正解できるようになることが、合格のためにはなお重要であることを示しています。

  • Lv.1
    条文や判例のレベルでは既出だが、事例への当てはめが必要で、問題文は異なる場合。

上記を2番目に簡単な問題として定義しました。しかし、事例への当てはめが必要な問題は、理解力を要求されることから、正答率が低いケースが有ります。既出の肢の知識をベースにしていても、当てはめが難しい場合も有り、一概に簡単な問題とは言えません。しかし、これも正解すべき問題です。

上記の「期待できる得点」や「受験戦略との関係」にはこのような視点が盛り込まれていません。このような視点を盛り込んだ上で再検討するのであれば、「期待できる得点」や「受験戦略との関係」も上記とは異なるものになります。

最後に

私は、模試の得点がLv.0, 1しか正解できていないとしても合格の可能性が無いと申し上げているわけではありません。

模試の得点が、明らかに合格レベルに達していない受験生でも、合格したケースはたくさんあります。模試の結果「Lv.0, 1しか無理!」となった方でもあきらめるのではなく、残された時間をいかに有意義に過ごすかの戦略を立てるために、本記事を目安としてご利用ください。


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